2. 法人税制はどこまで有効?
賃上げ税制は強化して3年延長
低所得者世帯への給付金支給が、早ければ3月にも始まる一方で、減税は手続きが煩雑な上メリットを得るまでに時間もかかるため、不満を持つ人も出てきそうです。
物価高に負けない賃上げを後押しするため、賃上げ促進税制の内容を見直し、3年延長になりました。
中小企業の場合、前年より1.5%以上賃上げすることで、賃金増加額の最大45%を税額控除できます(法人税の20%が、税額控除の上限)。
この賃上げ税制の実質的な効果は、賃上げ額が給与として損金算入され、その3分の1程度の税負担が軽減されるので、合計75%の税負担が軽減される計算になります。
税額控除が使えない赤字企業向けには、控除限度額の5年間繰越制度が設けられます。当期は赤字でも、翌期以降の黒字の事業年度で活用できるので、利用企業は増えそうです。
- 交際費も物価高対策!
現行、1人当たり5,000万円以下の接待飲食費は会議費として交際費から除外できますが、改正で金額が2倍に引き上げられます。
4月1日以降支払う飲食費は、1人あたり1万円まで交際費から除外できることになります。
- 減資で税逃れ企業へ、課税強化!
資本金1億円超の会社は、外形標準課税により、資本金、人件費等の収益配分額と付加価値割を元に法人事業税が課税されるため、中小企業と異なり赤字でも税負担が生じます。
JTBやHISなど名だたる大企業が資本金1億円に減資する例が後を絶たず、外形標準課税の対象会社は減少の一途をたどり、税収減が問題視されていました。
改正後は、外形標準課税の対象企業が減資して1億円以下になっても、資本金と資本剰余金合計が10億円超なら外形標準課税が続くことになります。
- 国内スタートアップ育成に向けた改正
資金、人材不足で悩むスタートアップ企業を税制面で後押しするために、税制適格ストックオプションが使いやすく改正されます。
権利行使時に給与課税なしで、譲渡時の譲渡所得が20%対象となる金額が、年3,600万円分(改正前1,200万円)に増えます。このほか権利付与対象の社外高度人材が、未上場企業での役員経験者などまでに拡充されます。
- 国際競争力強化へ向けた税制
国際的な競争力を確保するため、海外諸国で導入されている税制も導入されます。
- イノベーションボックス税制の新設
研究開発の結果で得た知的財産関連所得に設ける課税特例
1 国内で自ら研究開発し知的財産(特許等)を取得し、
2 その売却や貸し付けで所得を得る場合は
所得の内一定額の30%を損金算入できる制度が新設されます。
- 戦略分野国内生産促進税制の新設
生産段階の投資コストが大きい、半導体、電気自動車、鉄鋼、基礎化学品等について、その生産・販売量等に応じて減税する特例が新設されます。